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皆さんこんにちは、院長の伊藤淳二です。
10月も半ばを過ぎ、朝晩はだいぶ冷え込むようになってきましたね。
先日、関東信越厚生局で、新しく開業された先生方にカルテの書き方についてお話しする機会がありました。
人に伝える立場になると、普段当たり前にしている事を一つひとつ言葉にしなければなりません。
その中で、自分自身の至らなさに気付かされる事も多く、私にとっても学びの多い時間でした。
当たり前にしている事を見直すと、思わぬ見落としが見つかるものです。
これは毎日の歯のお手入れにも言える事だと思います。
今回は、歯ブラシだけでは落としきれない「歯と歯の間」のお手入れ、歯間ブラシとデンタルフロスについてお話ししたいと思います。
<歯ブラシだけでは届かない場所>
「毎日しっかり歯みがきをしているのに、歯と歯の間にむし歯が出来てしまった」
「歯と歯の間に物が挟まりやすい」
「フロスを使うと血が出るので、怖くてやめてしまった」
そんなふうに感じている方も多いのではないでしょうか?
前回のブログでは、正しい歯みがきの基本についてお話ししました。
歯ブラシの当て方を工夫すると、みがき残しはぐっと減らす事が出来ます。
ただ、残念ながら歯ブラシの毛先は、歯と歯の間の奥までは入っていきません。
歯と歯が接している部分(コンタクト)や、その下の歯ぐきとの境目は、どんなに丁寧にみがいても汚れが残りやすい場所です。
こうした場所にたまった汚れ(プラーク)は、むし歯や歯周病の原因になります。
特に大人の方は、歯と歯の間から歯周病が進んでいく事も少なくありません。
歯と歯の間のむし歯は、外から見えにくいため、気付いたときには大きくなっている事もあります。
だからこそ、歯ブラシに加えて、歯と歯の間専用の道具を使って頂く事が大切になってきます。
<一昔前と、今のお手入れ>
一昔前は、「歯のお手入れ=歯ブラシ」というのが一般的でした。
歯と歯の間に何かを通すのは、物が挟まったときくらい、という方も多かったと思います。
近年では、歯と歯の間のお手入れも、毎日の習慣として考えられるようになってきました。
ドラッグストアなどでも、さまざまな種類やサイズの歯間ブラシやフロスが並ぶようになり、手に入れやすくなっています。
ただ、種類が多いぶん、「どれを選べばいいのか分からない」という声もよく聞きます。
ここからは、それぞれの道具の特徴と選び方をお話しします。
<デンタルフロスとは>
デンタルフロスは、細い糸で歯と歯の間の汚れをこすり取る道具です。
歯と歯がぴったり接している、すき間の狭い所に向いています。
フロスには、主に次のような種類があります。
• ロールタイプ(糸を必要な長さだけ切って、指に巻いて使うもの)
• ホルダータイプ(持ち手に糸が張ってあるもの)
ホルダータイプには、前歯に使いやすい「F字型」と、奥歯にも届きやすい「Y字型」があります。
初めての方や、指に巻くのが苦手な方は、ホルダータイプから始めて頂くと使いやすいと思います。
糸の種類にも、表面にろうを塗って滑りを良くした「ワックスタイプ」と、塗っていない「アンワックスタイプ」があります。
慣れないうちは、歯の間に通しやすいワックスタイプがおすすめです。
<歯間ブラシとは>
歯間ブラシは、細い針金に毛のついた、小さなブラシのような道具です。
歯と歯の間にすき間がある所に向いています。
例えば、
• 歯ぐきが下がって、歯と歯の間にすき間が出来ている所
• ブリッジや被せ物の周り
• 歯並びの関係で、すき間が空いている所
といった場所は、フロスよりも歯間ブラシのほうが汚れをしっかり落とす事が出来ます。
歯間ブラシにも、まっすぐな「I字型」と、先が曲がった「L字型」があります。
前歯にはI字型、奥歯にはL字型が使いやすいです。
<歯間ブラシはサイズ選びが大切です>
歯間ブラシで一番大切なのが、サイズ選びです。
歯間ブラシは、細いものから太いものまで、いくつものサイズに分かれています。
サイズの目安は、「歯と歯の間に無理なく入り、軽く動かすと少し抵抗を感じるくらい」です。
<注意点>
• きつくて入らないものを、無理に押し込まない
• ゆるすぎるものは、汚れがしっかり落ちません
• すき間の大きさは場所によって違うので、場所ごとにサイズを使い分ける事もあります
無理に太いものを使うと、歯ぐきを傷つけたり、かえってすき間を広げてしまったりする事があります。
迷ったときは、細めのサイズから試してみて下さい。
ご自分に合ったサイズを選ぶのは、なかなか難しいものです。
「どのサイズを選べばいいか分からない」という方は、定期検診の際にお気軽にお尋ね下さいね。
お口の中を見ながら、場所に合ったサイズを一緒に考えていきたいと思います。
<使い方のコツ>
デンタルフロスの使い方
1、歯と歯の間に、ゆっくり前後に動かしながら通す
2、歯ぐきの少し下まで、やさしく入れる
3、片方の歯の側面に沿わせるようにして、上下に数回動かす
4、反対側の歯の側面も同じようにこする
勢いよく「パチン」と入れると、歯ぐきを傷つけてしまう事があります。
のこぎりを引くように、ゆっくり前後に動かしながら入れるのがコツです。
歯間ブラシの使い方
1、歯ぐきを傷つけないよう、歯ぐきに沿わせて斜めにゆっくり入れる
2、歯と歯の間で、前後に数回やさしく動かす
3、奥歯は外側(ほっぺた側)からだけでなく、出来れば内側(舌側)からも入れる
<注意点>
• 力を入れすぎない
• 毛先が曲がったり、針金が折れ曲がったりしたら交換する
• 使った後は水でよく洗い、乾かしておく
<使う順番について>
「歯みがきとフロス、どちらを先にすればいいですか?」と聞かれる事があります。
どちらが先でも、毎日続けて頂く事が一番大切です。
そのうえで、先に歯と歯の間の汚れを落としておくと、その後の歯みがきで歯みがき剤の成分が歯と歯の間にも行き渡りやすくなる、という考え方もあります。
一日一回、特に寝る前のお手入れのときに使って頂くのがおすすめです。
寝ている間は唾液が少なくなり、細菌が増えやすくなるためです。
<血が出るときは>
フロスや歯間ブラシを使い始めたときに、血が出て驚かれる方も多いと思います。
歯ぐきに炎症(歯肉炎)があると、軽く触れただけでも血が出る事があります。
やさしく丁寧に続けていくうちに、歯ぐきの状態が落ち着いて、出血が減ってくる事も少なくありません。
ただし、続けていても出血がおさまらない場合や、腫れや痛みがある場合は、歯周病が進んでいる事も考えられます。
そのようなときは、自己判断で続けずに、一度ご相談下さい。
<お子さん、ご年配の方へ>
私は中央区の保健所で、幼児の歯科検診や学校の歯科検診も担当させて頂いています。
お子さんの奥歯の間は、むし歯が出来やすい場所の一つです。
仕上げみがきのときに、保護者の方がお子さん用のフロスを通してあげると良いと思います。
また、ブリッジや入れ歯をお使いの方は、その周りに汚れがたまりやすくなります。
ブリッジの下には、専用のフロスや歯間ブラシが通せる場合もありますので、使い方が分からない方はお気軽にお尋ね下さいね。
<セルフケアと歯科医院でのケア>
歯間ブラシやフロスは、毎日続けてこそ効果が出てくる道具です。
とはいえ、どんなに丁寧に使っても、すべての汚れを取りきるのは難しい事です。
また、一度固まってしまった歯石は、ご自宅でのお手入れでは取る事が出来ません。
歯と歯の間の状態は、歯並びや歯ぐきの状態によって一人ひとり違います。
症例にもよりますが、歯周病が進んでいる場合には、ご自宅でのお手入れだけでなく、歯科医院での治療が必要になる事もあります。
歯科医院での定期検診やクリーニングは、健康保険が使える場合も多いですので、こちらもお気軽にお問い合わせ下さい。
毎日のセルフケアと、歯科医院での定期的なケア、その両方で歯を守っていきましょう。
<おわりに>
歯と歯の間のお手入れは、最初は少し面倒に感じるかもしれません。
それでも、慣れてくると数分で出来るようになり、お口の中がすっきりするのを感じて頂けると思います。
先日、人に伝える立場になって、改めて自分の足りない所に気付かされました。
私自身も、一人ひとりの患者さんに分かりやすくお伝え出来るよう、今後の診療に活かしていきたいと思います。
歯間ブラシやフロスの選び方、使い方で分からない事がありましたら、お気軽にご相談下さいね。
