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ハロウィンのお菓子と歯

皆さんこんにちは、院長の伊藤淳二です。
10月も終わりに近づき、街のあちこちでかぼちゃの飾りを見かけるようになりましたね。

もうすぐハロウィンです。
仮装をしたお子さんたちが「トリック・オア・トリート」とお菓子をもらって歩く光景も、すっかりおなじみになりました。

今回は、そんなハロウィンの季節にちなんで、「お菓子とむし歯」についてお話ししたいと思います。

<お菓子をもらった後、どうしていますか?>

「ハロウィンでもらったお菓子を、子どもが何日もかけて少しずつ食べている」
「甘いものは控えたほうがいいと分かっていても、楽しみを取り上げるのはかわいそう」
「大人も、仕事の合間についお菓子をつまんでしまう」

そんなふうに感じている方も多いのではないでしょうか?

お菓子は、私たちの生活を楽しくしてくれるものです。
私は、甘いものを一切食べてはいけない、とは考えていません。
大切なのは、「何を」「いつ」「どのように」食べるかです。
少しの工夫で、むし歯になるリスクを減らす事が出来ます。

<むし歯が出来る仕組み>

お口の中には、むし歯の原因になる細菌(ミュータンス菌など)がいます。
この細菌は、食べ物や飲み物に含まれる糖分をえさにして、酸を作り出します。

この酸によって、歯の表面のエナメル質から、カルシウムなどの成分が少しずつ溶け出していきます。
これを「脱灰(だっかい)」と言います。

一方で、唾液には、酸を中和して、溶け出した成分を歯に戻す働きがあります。
これを「再石灰化(さいせっかいか)」と言います。

お口の中では、食事やおやつのたびに「脱灰」と「再石灰化」が繰り返されています。
食べた後しばらくは歯が溶けやすい状態になり、時間が経つと唾液の働きで元に戻っていく、というイメージです。

この「溶ける時間」が長くなったり、回数が多くなったりすると、元に戻る時間が足りなくなり、むし歯が出来やすくなってしまいます。

<量よりも「回数」と「時間」が大切です>

むし歯というと、「甘いものをたくさん食べるとなる」と思われがちです。
もちろん糖分の量も関係しますが、それ以上に大切なのが、甘いものを口にする「回数」と、お口の中に残っている「時間」です。

例えば、同じ量のお菓子でも、

• おやつの時間にまとめて食べる
• 一日中、少しずつだらだらと食べ続ける

この二つを比べると、だらだらと食べ続けるほうが、お口の中が酸性に傾いている時間が長くなります。
その結果、歯が元に戻る時間がなくなり、むし歯のリスクが高くなってしまいます。

ハロウィンでたくさんお菓子をもらったときこそ、「少しずつ、何日もかけて、いつでも食べる」のではなく、「食べる時間を決めて食べる」事を心がけて頂ければと思います。

<むし歯になりやすいお菓子>

お菓子の中でも、特に注意したいのは次のようなものです。

• キャラメル、ソフトキャンディ、グミなど、歯にくっつきやすいもの
• 飴や棒付きキャンディなど、長い時間お口の中にあるもの
• ジュースや炭酸飲料、スポーツドリンクなど、糖分を含む飲み物
• クッキーやスナック菓子など、歯の溝や歯と歯の間に残りやすいもの

歯にくっつくお菓子は、食べ終わった後も糖分が歯の表面に残りやすくなります。
飴は、なめている間ずっと糖分がお口の中にある状態が続きます。

また、飲み物は見落とされがちですが、糖分を含む飲み物をちびちびと飲み続けるのも、だらだら食べと同じ状態になります。
特に、寝る前や寝ている間に甘い飲み物を飲むのは控えて頂きたいと思います。

<比較的むし歯になりにくいおやつ>

反対に、比較的むし歯になりにくいと言われているのは、次のようなものです。

• キシリトールなど、むし歯の原因になりにくい甘味料を使ったお菓子
• チーズやヨーグルト(無糖のもの)などの乳製品
• おにぎりやふかし芋など、食事に近いもの
• 果物(ただし、ドライフルーツは歯にくっつきやすいので注意が必要です)

お菓子のパッケージに「シュガーレス」「糖類ゼロ」などと書かれているものもあります。
ただし、これらのお菓子でも、食べ方によっては歯に良くない場合もありますし、食べ過ぎるとお腹がゆるくなる事もあります。
「これなら安心」と決めつけずに、食べ方とセットで考えて頂く事が大切です。

<注意点>
• 小さなお子さんに、ナッツや硬い豆、丸い飴などを与えるときは、のどに詰まらせないよう十分に気を付けて下さい
• 市販のお菓子は商品によって成分が違いますので、表示を確認して選んで下さいね

<一昔前と、今のおやつの考え方>

一昔前は、「甘いものを食べるとむし歯になる」という考え方から、甘いものそのものを厳しく禁止するご家庭も多かったように思います。

近年では、むし歯の仕組みが分かってきた事で、「食べる回数や時間を決める」「食べた後のお手入れをする」といった、上手に付き合う考え方が広まってきました。
また、フッ素(フッ化物)入りの歯みがき剤が広く使われるようになった事も、むし歯の予防に役立っていると言われています。

甘いものを我慢するだけでなく、「どう付き合うか」を考える時代になってきたのだと思います。

<お子さんのおやつの時間の決め方>

私は中央区の保健所で、幼児の歯科検診や学校の歯科検診も担当させて頂いています。
小さなお子さんの歯は、おやつの取り方の影響を受けやすいものです。

お子さんのおやつについては、次のような事を心がけて頂ければと思います。

1、おやつの時間を決める
「午後3時のおやつ」のように、毎日だいたい同じ時間に食べるようにします。
小さなお子さんは一度にたくさん食べられないため、食事の間におやつで栄養を補う事も大切です。
時間を決めて、食事とのメリハリをつける事がポイントです。

2、食べる量を決めて、お皿に出す
袋ごと渡すと、ついつい食べ続けてしまいます。
食べる分だけお皿に出して、食べ終わったらおしまい、というルールにすると良いと思います。

3、飲み物はお茶やお水に
おやつと一緒に飲むものは、甘い飲み物ではなく、お茶やお水にするのがおすすめです。

4、食べた後は、お茶や水でお口をゆすぐ
すぐに歯みがきが出来ないときでも、お茶やお水を飲んだり、お口をゆすいだりするだけで、お口の中に残る糖分を減らす事が出来ます。

5、寝る前は食べない
寝ている間は唾液の量が減り、むし歯になりやすい状態になります。
夜の歯みがきの後は、お水やお茶以外は口にしないようにしましょう。

ハロウィンでもらったお菓子も、「おやつの時間に、今日はこれだけ」と、保護者の方と一緒に決めておくと、楽しみながら歯を守る事が出来ますね。

<大人の方も気を付けて下さい>

むし歯は子どもだけの病気ではありません。
大人の方も、仕事の合間に飴をなめたり、甘いコーヒーを少しずつ飲み続けたりする習慣があると、むし歯のリスクが高くなります。

また、年齢を重ねて歯ぐきが下がってくると、歯の根の部分が出てきます。
歯の根の部分はエナメル質に覆われていないため、むし歯になりやすい場所です(根面う蝕)。

私は以前、大学の高齢者歯科の講座で臨床講師をしていましたが、ご年配の方の歯の根元のむし歯は、気付きにくいうちに進んでしまう事も少なくありません。
お口が乾きやすい方や、お薬の影響で唾液が少なくなっている方も、注意が必要です。

<毎日のお手入れと、歯科医院でのケア>

お菓子を食べた日も、毎日の歯みがきを丁寧に行う事が基本です。
フッ素入りの歯みがき剤を使い、歯と歯の間には、前回のブログでお話しした歯間ブラシやフロスも使って頂ければと思います。

ただ、残念ながら、どんなに気を付けていても、むし歯を完全に防ぐのは難しい事です。
歯の質や唾液の量、歯並びなどによって、むし歯のなりやすさには個人差があります。

歯科医院では、むし歯がないかのチェックや、ご自宅では落としきれない汚れのクリーニングを行う事が出来ます。
フッ素塗布など、むし歯の予防について気になる方は、定期検診の際にお気軽にお尋ね下さい。
小さなむし歯であれば、削る量も少なく、短い治療で済む事がほとんどです。
早めに見つけるためにも、定期検診は是非とも続けて下さいね。

<おわりに>

ハロウィンは、お子さんにとって楽しみな行事の一つだと思います。
お菓子を我慢させるのではなく、食べ方を少し工夫するだけで、楽しい思い出と健康な歯の両方を守る事が出来ます。

私自身も、患者さん一人ひとりの生活に合わせたアドバイスが出来るよう、今後の診療に活かしていきたいと思います。

お子さんのおやつの事や、むし歯の予防について気になる事がありましたら、お気軽にご相談下さいね。

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