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いい歯の日と8020

皆さんこんにちは、院長の伊藤淳二です。
11月に入り、木々の色づきに秋の深まりを感じる季節になりましたね。

11月8日は「いい歯の日」です。
「いい(11)は(8)」の語呂合わせから、日本歯科医師会が定めた記念日です。

今回は、この「いい歯の日」にちなんで、「8020(ハチマルニイマル)運動」と、歯を長く保つために今から始めたい習慣についてお話ししたいと思います。

<年を重ねても、おいしく食べ続けるために>

「最近、硬いものが噛みにくくなってきた」
「歯が抜けたままになっているけれど、特に困っていないのでそのままにしている」
「まだ若いから、歯の事はもう少し先に考えればいいと思っている」

そんなふうに感じている方も多いのではないでしょうか?

歯は、毎日当たり前のように使っているものです。
そのため、不自由を感じるまでは、なかなかその大切さに気付きにくいものだと思います。

年齢を重ねても、好きなものをおいしく食べ、楽しく会話をする。
そんな毎日を支えているのが、お口の健康です。
そのための分かりやすい目標が、「8020」です。

<8020運動とは>

8020運動は、「80歳になっても、ご自分の歯を20本以上保ちましょう」という取り組みです。
平成元年(1989年)に、当時の厚生省と日本歯科医師会によって始められました。

先日の健康福祉祭りでも、この目標を達成された方の表彰がありました。

では、なぜ「20本」なのでしょうか?

大人の歯は、親知らずを除くと全部で28本あります。
そのうち20本以上の歯が残っていれば、硬いものも含めて、ほとんどの食べ物をおいしく噛む事が出来ると言われています。

もちろん、20本という数字は一つの目安です。
本数だけでなく、上下の歯がきちんと噛み合っている事や、歯ぐきが健康である事も大切になってきます。

<よく噛める事の大切さ>

ご自分の歯でよく噛める事には、次のような良いところがあります。

• 食べられるものの種類が増え、栄養が偏りにくくなる
• 食事をおいしく、楽しく味わう事が出来る
• 唾液がよく出て、お口の中をきれいに保ちやすくなる
• はっきり話しやすくなり、人との会話を楽しめる
• 口元の張りが保たれ、表情にも関わる

近年では、「オーラルフレイル」という言葉も使われるようになってきました。
噛む力や飲み込む力など、お口の働きが少しずつ衰えていく状態の事です。

「むせやすくなった」「食べこぼしが増えた」「滑舌が悪くなった」といった小さな変化は、見過ごしてしまいがちです。
食べられるものが減ると、体全体の元気にも影響する事があると言われています。

お口の健康は、お口の中だけの問題ではありません。
全身の健康を支える入り口の一つだと、私は考えています。

<歯を失う主な原因>

大人の方が歯を失う主な原因は、「歯周病」と「むし歯」です。
そのほかに、歯の根が割れてしまう事(歯根破折)もあります。

歯周病は、歯と歯ぐきの境目にたまった汚れの中の細菌によって、歯を支える骨(歯槽骨)が少しずつ壊されていく病気です。
自覚症状が少ないまま進行していくのが、やっかいなところです。

むし歯については、前回のブログで詳しくお話ししました。
神経を取った歯は割れやすくなる事があるため、大きなむし歯にしない事も、歯を長く保つためには大切です。

つまり、歯は「年を取ったから抜ける」のではありません。
多くの場合、病気によって失われていくものです。
だからこそ、予防や早めの治療によって、守っていける可能性があります。

<一昔前と、今の歯の考え方>

一昔前は、「年を取ると歯がなくなるのは仕方がない」と考える方が多かったように思います。
歯が痛くなったら歯科医院に行き、どうしても駄目なら抜く、というのが一般的な流れでした。

近年では、「悪くなる前に守る」という予防の考え方が広まってきました。
8020運動が始まった頃と比べると、ご高齢になってもご自分の歯を多く残している方は増えてきています。

歯は、早くから手入れをするほど、長く守りやすくなります。
お若い方も、年齢を重ねた方も、気付いたときが始めどきだと思います。

<今から始めたい習慣>

歯を長く保つために、次のような事を心がけて頂ければと思います。

1、毎日の歯みがきを丁寧に行う
歯と歯ぐきの境目に毛先を当て、軽い力で細かく動かします。

2、歯と歯の間のお手入れをする
歯ブラシだけでは届かない所には、歯間ブラシやフロスを使います。

3、フッ素(フッ化物)入りの歯みがき剤を使う
歯の質を強くして、むし歯の予防に役立ちます。

4、よく噛んで食べる
よく噛む事で唾液が出やすくなり、お口の働きを保つ事にもつながります。

5、甘いものの取り方を見直す
だらだらと食べ続けず、時間を決めて取るようにします。

6、たばこについて考える
喫煙は、歯周病を悪化させる要因の一つと言われています。

7、定期検診を続ける
歯石の除去やクリーニングは、ご自宅では出来ません。
小さな変化を早めに見つけるためにも、定期検診は是非とも続けて下さいね。

一度にすべてを始めるのは大変だと思います。
まずは出来そうな事を一つ選んで、続けてみて頂ければと思います。

<年代ごとに気を付けたい事>

歯を守るために気を付けたい事は、年代によって少しずつ違います。

お子さん
私は中央区の保健所で、幼児の歯科検診や学校の歯科検診も担当させて頂いています。
生えたばかりの歯は、むし歯になりやすい状態です。
小さな頃からの歯みがきやおやつの習慣は、大人になってからの歯の健康にもつながります。

働き盛りの方
お仕事や子育てで忙しい年代は、ご自分の歯の事が後回しになりがちです。
歯周病は、この年代から少しずつ進んでいく事があります。
痛みがなくても、定期的にお口の状態を確認して頂ければと思います。

ご年配の方
歯ぐきが下がると、歯の根の部分にむし歯が出来やすくなります。
お薬の影響などでお口が乾きやすくなる事もあります。
私は以前、大学の高齢者歯科の講座で臨床講師をしていましたが、年齢を重ねた方ほど、お一人おひとりのお体の状態に合わせた対応が大切になると考えています。

<20本なくても、あきらめないで下さい>

ここまで8020についてお話ししてきましたが、すでに歯を失っている方もいらっしゃると思います。
「もう20本は残っていないから」と、あきらめる必要はありません。

残っている歯を大切にする事は、何歳からでも意味があります。
また、失った歯は、入れ歯やブリッジ、インプラントなどで補う方法があります。

<注意点>
• 歯が抜けたままにしておくと、周りの歯が傾いたり、噛み合わせが変わったりする事があります
• 合わない入れ歯をそのまま使い続けると、歯ぐきが痛んだり、うまく噛めなかったりする事があります

入れ歯やブリッジは、種類によって保険が使えるものと、自費になるものがあります。
インプラントは、基本的に自費の治療になります。
それぞれに良いところと限界がありますので、お口の状態やご希望に合わせて、一緒に考えていきたいと思います。

入れ歯の治療は、私が力を入れている分野の一つです。
「入れ歯が合わない」「噛むと痛い」といったお悩みがありましたら、調整で変わる場合もありますので、我慢せずにご相談下さい。

もちろん、どんなに気を付けていても、体質や全身の病気など、さまざまな理由で歯を失う事はあります。
残念ながら、すべての歯を守れるとは限りません。
それでも、今あるお口の状態を少しでも良くしていく事は出来ると、私は考えています。

<おわりに>

「いい歯の日」は、ご自分のお口の事を見つめ直す良いきっかけになると思います。
しばらく歯科医院に行っていないという方は、この機会に是非一度、お口の状態を確認してみて下さいね。

8020は、80歳の方だけの目標ではありません。
今の毎日の積み重ねが、将来の食べる楽しみにつながっていきます。

私自身も、皆さんが長くご自分の歯で、あるいは合った入れ歯で、おいしく食事を続けられるよう、今後の診療に活かしていきたいと思います。

歯や入れ歯の事で気になる事がありましたら、どんな小さな事でもお気軽にご相談下さいね。

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