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皆さんこんにちは、院長の伊藤淳二です。
9月の暑さもようやく落ち着き、朝晩は過ごしやすくなってきましたね。
先日のシルバーウイークに、昔の映画「銀河鉄道の夜」を観に行ってきました。
偶然にも、その日は宮沢賢治さんの命日でした。
会場には花とともに、「九月二十一日は宮沢賢治さんの御命日です」という案内が飾られていました。

今見ても色褪せない、深いお話でした。
長い時間が経っても変わらず大切にされているものには、やはりそれだけの理由があるのだと感じました。
この「色褪せない」という言葉は、歯にも当てはまるのではないかと思います。
今日はその事から、ご自分の歯を長く使い続けるための「定期検診」についてお話ししたいと思います。
<歯は「一生もの」です>
歯は一度失うと、もう二度と生えてきません。
入れ歯やブリッジ、インプラントなど、失った歯を補う方法はいくつもあります。
それぞれに良いところがありますが、ご自分の歯と全く同じというわけにはいきません。
「最近、硬いものが噛みにくくなった」
「冷たいものがしみるけど、そのうち治るだろう」
そんなふうに感じながら、つい歯医者に行くのを後回しにしている方も多いのではないでしょうか?
お忙しい毎日の中で、痛みのない歯のために時間を作るのは、なかなか難しい事だと思います。
それでも私は、痛くなる前に診せて頂く事が、歯を長く守るための一番の近道だと考えています。
<一昔前と、今の歯科医院の役割>
一昔前は、「歯医者は痛くなってから行くところ」というイメージが強かったと思います。
むし歯が痛くなったら削って詰める、どうしても駄目になったら抜く、という流れが一般的でした。
近年では、考え方が大きく変わってきています。
「悪くなってから治す」のではなく、「悪くならないように守る」という予防の考え方が広まってきました。
国や歯科医師会が進めている「8020(ハチマルニイマル)運動」をご存じでしょうか?
80歳になっても自分の歯を20本以上保とう、という取り組みです。
20本の歯があれば、ほとんどの食べ物をおいしく噛む事が出来ると言われています。
この取り組みが始まった頃と比べると、自分の歯を多く残している高齢の方は確実に増えてきました。
その背景には、定期的に歯科医院に通い、歯の健康を管理する方が増えてきた事があると考えられています。
<大人が歯を失う一番の原因>
大人の方が歯を失う原因として最も多いのは、むし歯ではなく「歯周病」です。
歯周病は、歯と歯ぐきの境目にたまった汚れ(プラーク)の中の細菌によって、歯ぐきや歯を支える骨(歯槽骨)が少しずつ壊されていく病気です。
歯周病のやっかいなところは、自覚症状がほとんどないまま進行していく事です。
初めのうちは、
• 歯みがきのときに少し血が出る
• 歯ぐきが赤く腫れぼったい
• 朝起きたときに口の中がねばつく
といった、見過ごしてしまいそうなサインしかありません。
そのまま進行すると、歯ぐきが下がって歯が長く見えるようになったり、歯がぐらぐらしてきたりします。
痛みや腫れが出て「おかしいな」と気づいたときには、症例にもよりますが、かなり進んでしまっている事も少なくありません。
だからこそ、症状が出る前に見つける事が大切になってきます。
<定期検診では何をするのか>
「定期検診に行ったほうがいいのは分かるけれど、何をするのかよく分からない」という声を聞く事があります。
定期検診では、主に次のような事を行います。
1、お口の中のチェック
むし歯がないか、詰め物や被せ物が欠けたり浮いたりしていないかを確認します。
2、歯ぐきの検査
歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)の深さを測り、出血がないかを確認します。
歯周病が進んでいるかどうかを知るための、大切な検査です。
3、歯石の除去とクリーニング
歯石は、プラークが固まって石のようになったものです。
一度ついてしまうと、毎日の歯みがきでは取る事が出来ません。
専用の器具で取り除き、歯の表面をきれいに整えます。
4、歯みがきのアドバイス
歯並びや詰め物の形によって、みがき残しが出やすい場所は人それぞれです。
一人ひとりのお口に合わせて、歯ブラシの当て方や、歯間ブラシ・フロスの使い方をお伝えします。
当医院でも、定期的なメインテナンスの中で、歯ぐきの状態をできるだけ細かく確認するようにしています。
前回からの変化を比べながら診ていく事で、小さな変化にも気づきやすくなります。
<どのくらいの間隔で通えばよいのか>
定期検診の間隔は、一般的には3ヶ月から6ヶ月に1回程度と言われています。
ただし、これはあくまで目安です。
歯周病の治療を受けた方や、歯石がつきやすい方、詰め物や被せ物が多い方は、もう少し短い間隔をおすすめする事もあります。
反対に、お口の状態が安定している方は、間隔を少し空けても大丈夫な場合もあります。
お一人おひとりのお口の状態に合わせてご提案しますので、どうぞ遠慮なくお尋ね下さいね。
<早く見つければ、治療も小さく済みます>
定期検診のもう一つの良いところは、問題を早く見つけられる事です。
例えば、小さなむし歯であれば、削る量も少なく、短い治療で済む事がほとんどです。
ところが、むし歯が大きくなって歯の神経(歯髄)まで届いてしまうと、神経を取る治療(根管治療)が必要になる事があります。
以前のブログでもお話ししましたが、神経を取った歯は、どうしても割れやすくなってしまいます。
私自身、できる事なら歯の神経は残してあげたいと考えています。
そのためにも、早めに見つけて、小さいうちに治療する事がとても大切です。
もちろん、すべての病気を定期検診で防げるわけではありません。
歯周病が大きく進んでしまっている場合や、歯の根の治療が非常に難しい場合など、症例によっては専門の先生にご紹介する事もあります。
当医院で出来る事と、専門の先生にお願いしたほうが良い事をきちんとお伝えし、患者さんにとって一番良い方法を一緒に考えていきたいと思っています。
<毎日のセルフケアと、歯科医院でのケア>
歯を守るためには、毎日のご自宅でのケアと、歯科医院での定期的なケアの両方が欠かせません。
ご自宅では、次のような事を心がけて頂ければと思います。
• 毎日の歯みがきを丁寧に行う
• 歯と歯の間は、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロスも使う
• 寝る前の歯みがきは特に時間をかけて行う
• だらだらと甘いものを食べ続けない
どんなに丁寧にみがいていても、みがき残しをゼロにするのは難しいものです。
みがききれなかった部分や、固まってしまった歯石は、歯科医院でのクリーニングでしっかり取り除いていきましょう。
<おわりに>
「銀河鉄道の夜」は、何十年経っても多くの人に大切にされ続けている作品です。
今回観て、本当に良いものは時間が経っても色褪せないのだと感じました。
歯も同じように、毎日手入れをして、定期的に診ていけば、長く使い続ける事が出来ます。
秋は気候も穏やかで、通院しやすい季節です。
しばらく歯医者に行っていないという方は、この機会に是非一度、定期検診を受けてみて下さいね。
今回感じた事を、今後の診療に活かしていきたいと思います。
気になる事がありましたら、どんな小さな事でもお気軽にご相談下さい。
