中央区(銀座・築地・新富町)の歯医者・歯科 | 伊藤淳二歯科診療室

ブログ

むし歯が出来る仕組み

皆さんこんにちは、院長の伊藤淳二です。
秋も深まり、朝晩はすっかり冷え込むようになってきましたね。

先日、中央区主催の健康福祉祭りに参加してきました。
福祉に関わるさまざまな団体が協力して、毎年開かれている催しです。

歯科に関わる催しとしては、80歳で20本以上ご自分の歯が残っている健康なご高齢の方や、家族で予防に努めている親子の表彰がありました。
また、歯に関するお悩みの相談室も開かれていました。
地域の皆さんが歯の健康について考えるきっかけになる場は、とても大切だと思います。

ご自分の歯を長く保つためには、むし歯や歯周病を防ぐ事が欠かせません。
そのためには、まず「なぜ病気になるのか」を知る事が第一歩だと思います。
今回は、身近な病気の一つである「むし歯が出来る仕組み」についてお話ししたいと思います。

<むし歯について、こんな疑問はありませんか?>

「毎日歯をみがいているのに、むし歯が出来てしまう」
「家族の中でも、むし歯になりやすい人と、なりにくい人がいるのはなぜ?」
「小さなむし歯と言われたけれど、削らなくて大丈夫なの?」

そんなふうに感じている方も多いのではないでしょうか?

むし歯はとても身近な病気ですが、どのように出来て、どのように進んでいくのかは、意外と知られていないように思います。
仕組みを知っておくと、毎日のお手入れや、歯科医院での治療の意味も分かりやすくなります。

<むし歯は「四つの条件」が重なって出来ます>

むし歯は、次の四つの条件が重なったときに出来ると考えられています。

1、細菌
お口の中には、むし歯の原因になる細菌(ミュータンス菌など)がいます。
この細菌は、歯の表面にくっついて「プラーク(歯垢)」と呼ばれるかたまりを作ります。
プラークは、細菌がびっしりと集まって膜のようになったもので、うがいだけでは落ちません。

2、糖
細菌は、食べ物や飲み物に含まれる糖分をえさにして、酸を作り出します。
この酸が、歯を溶かす原因になります。

3、歯の質
歯の硬さや、酸への強さは、人によって違います。
また、唾液の量や性質にも個人差があり、むし歯のなりやすさに関わっています。

4、時間
細菌と糖があっても、すぐにむし歯になるわけではありません。
酸にさらされる時間が長くなる事で、むし歯が進んでいきます。

この四つのうち、どれか一つでも小さくする事が出来れば、むし歯は出来にくくなります。
例えば、歯みがきは「細菌」を減らす事、おやつの時間を決めるのは「糖」と「時間」を減らす事、フッ素(フッ化物)を使うのは「歯の質」を強くする事につながります。

前回のブログ「ハロウィンのお菓子と歯」では、主に「糖」と「時間」についてお話ししました。
今回は、むし歯がどのように進んでいくのかを、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

<歯のつくりを知っておきましょう>

むし歯の進み方を知るためには、歯のつくりを知っておくと分かりやすくなります。

歯は、外側から順に、次のような層で出来ています。

• エナメル質(歯の一番外側の、とても硬い層)
• 象牙質(ぞうげしつ。エナメル質の内側にある、少しやわらかい層)
• 歯髄(しずい。歯の中心にある神経や血管)

エナメル質は、体の中で一番硬い組織と言われています。
一方で、その内側の象牙質はエナメル質よりもやわらかく、むし歯が象牙質まで届くと、進むスピードが速くなる事があります。

<むし歯の進み方>

歯科医院では、むし歯の進み具合を「C(シー)」という記号で表す事があります。
C は、むし歯を意味する言葉の頭文字です。

C0(シーゼロ):初期のむし歯
歯の表面が白くにごったり、つやがなくなったりしている状態です。
まだ穴はあいておらず、痛みもありません。

C1(シーワン):エナメル質のむし歯
エナメル質に小さな穴があいた状態です。
この段階でも、痛みはほとんどありません。

C2(シーツー):象牙質まで進んだむし歯
むし歯が象牙質まで届いた状態です。
冷たいものや甘いものがしみる事があります。

C3(シースリー):神経まで進んだむし歯
むし歯が歯髄(神経)まで届いた状態です。
強い痛みが出る事が多く、神経の治療(根管治療)が必要になる事があります。

C4(シーフォー):歯の根だけが残った状態
歯の頭の部分がほとんど溶けてしまった状態です。
神経が死んでしまい、一時的に痛みがなくなる事もありますが、残念ながら抜歯が必要になる事も少なくありません。

ここで知っておいて頂きたいのは、初期の段階では、ほとんど自覚症状がないという事です。
「痛くなってから」では、すでにかなり進んでしまっている事が多いのです。

<学校の歯科検診の「CO(シーオー)」とは>

私は中央区の保健所で、幼児の歯科検診や学校の歯科検診も担当させて頂いています。

お子さんが学校の歯科検診を受けたときに、「CO」と書かれた用紙を持ち帰ってくる事があると思います。
これは「シーオー」と読み、「要観察歯」という意味です。

CO は、今すぐ削る治療が必要なむし歯ではありませんが、このままにしておくとむし歯に進む可能性がある歯、という意味です。
歯みがきや食生活に気を付けながら、経過を見ていく必要があります。

CO と言われた場合は、かかりつけの歯科医院で、みがき方の確認や、フッ素塗布などについて相談して頂ければと思います。

<初期のむし歯は、削らずに済む場合があります>

前回のブログでもお話ししたように、お口の中では、歯が溶ける「脱灰」と、唾液の働きで元に戻る「再石灰化」が繰り返されています。

初期のむし歯(C0 や CO)の段階では、まだ穴があいていないため、この「再石灰化」の力で、状態が落ち着いたり、元に近い状態に戻ったりする事があります。
フッ素は、この再石灰化を助ける働きがあると言われています。

一方で、一度穴があいてしまったむし歯は、残念ながら自然に治る事はありません。
穴の中にはプラークがたまりやすく、ご自宅でのお手入れだけでは汚れを取りきれないためです。

<一昔前と、今の「削る・削らない」の考え方>

一昔前は、「むし歯を見つけたら、早めに削って詰める」という考え方が一般的でした。

近年では、「出来るだけ削らない」「歯を出来るだけ残す」という考え方が広まってきています。
これを「ミニマルインターベンション(最小限の治療)」と言います。

なぜかというと、歯は一度削ると元には戻らないからです。
また、詰め物や被せ物は、何年か経つとすき間が出来たり、すり減ったりして、やり直しが必要になる事があります。
やり直すたびに、歯を削る量は少しずつ増えていってしまいます。

そのため、初期のむし歯であれば、すぐに削るのではなく、お手入れやフッ素で様子を見る、という選択をする事もあります。

<削るか、削らないかの判断>

とはいえ、どんなむし歯でも様子を見ればよい、というわけではありません。
削るか削らないかは、次のような事を総合的に見て判断します。

• むし歯の深さや大きさ
• 穴があいているかどうか
• むし歯の場所(歯と歯の間など、汚れを落としにくい場所かどうか)
• お口の中全体のむし歯のなりやすさ
• 毎日のお手入れの状態や、定期的に通院出来るかどうか

歯と歯の間のむし歯などは、見た目だけでは分かりにくく、レントゲンで確認する事もあります。
症例にもよりますが、様子を見るほうが良い場合もあれば、早めに治療したほうが歯を守れる場合もあります。

私自身、出来る事なら歯は削らずに残してあげたいと考えています。
ただ、様子を見ている間にむし歯が進んでしまっては意味がありません。
一人ひとりのお口の状態をよく見て、患者さんとご相談しながら決めていきたいと思っています。

むし歯の治療は、基本的に健康保険が使えます。
フッ素塗布は、年齢やお口の状態などによって、保険が使える場合と使えない場合がありますので、気になる方はお気軽にお尋ね下さい。

<ご自宅で出来る事>

むし歯を防ぐために、ご自宅では次のような事を心がけて頂ければと思います。

• 毎日の歯みがきで、プラークを落とす
• 歯と歯の間は、歯間ブラシやフロスも使う
• フッ素入りの歯みがき剤を使う
• おやつや甘い飲み物は、時間を決めて取る
• 寝る前の歯みがきの後は、お水やお茶以外は口にしない

<注意点>
• 歯の表面が白くにごっている、黒っぽくなっている所を見つけたら、自己判断せずにご相談下さい
• しみる、痛むといった症状が一時的におさまっても、むし歯が治ったわけではありません

<むし歯のなりやすさには個人差があります>

同じように気を付けていても、むし歯になりやすい方と、なりにくい方がいらっしゃいます。
これは、歯の質や唾液の量、歯並び、詰め物の多さなど、さまざまな事が関係しているためです。

むし歯が出来てしまったからといって、ご自分を責める必要はありません。
大切なのは、ご自分のお口の特徴を知り、それに合ったお手入れを続ける事です。

定期検診では、むし歯がないかのチェックだけでなく、初期のむし歯の経過を見ていく事も出来ます。
早めに見つける事が出来れば、削らずに済んだり、小さな治療で済んだりする可能性が高くなります。
定期検診は是非とも続けて下さいね。

<おわりに>

むし歯は、「細菌」「糖」「歯の質」「時間」の四つが重なって出来る病気です。
仕組みを知っておくと、毎日のお手入れの一つひとつに意味がある事を感じて頂けると思います。

先日の健康福祉祭りで表彰された皆さんのように、ご家族みんなで予防に取り組んで頂ける方が増えると嬉しく思います。
私自身も、むし歯の仕組みや予防について分かりやすくお伝え出来るよう、今後の診療に活かしていきたいと思います。

むし歯の事や、学校検診で「CO」と言われた事など、気になる事がありましたら、お気軽にご相談下さいね。

伊藤淳二歯科診療室

診療時間 月 火 水 木 金 土 日・祝
9:00 - 18:00 ◯ ◯ ◯ − ◯ − −
9:00 - 17:00 − − − − − ◯ −

*休診日は、木曜・日曜・祝日
*当医院は完全予約制となっております

〒104-0045東京都中央区築地1-9-12 今里ビル5階
(2019年2月1日に移転いたしました。旧住所:〒104-0045 東京都中央区築地1-5-8樋泉ビル4階)

TEL 03-5647-8217
24h WEBで簡単 ご予約はこちら
All Rights Reserved. © 伊藤淳二歯科診療室
お問い合わせ 03-5647-8217
24h WEBで簡単 ご予約はこちら